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台風の思い(その2・九十九里浜)

由比ヶ浜での苦い経験からますます波乗りにのめりこんでいった
ショートボードからロングボードそしてファンボードなんでも使用するようになり
ハワイに毎年遠征して現地でレンタカーを借りコンドミニアムで長期滞在
とにかく海中心に廻る生活いったいいくらお金を使ったのだろうか(笑)
計算すると多分4桁万円(汗)近くは浪費していると思う
今は本当に節約した生活を送っていると・・・(爆)
この頃から波が無く夏になると必ず赤潮が発生する湘南を離れ千葉・茨城に頻繁に遠征するようになる
湘南で波乗りしていると体がなまるコンスタントに波があり沖のポイントが遠い千葉・茨城に行かないと・・・
そんな思いから湘南へは台風で良い波が来ない以外通わなくなり完全に千葉・茨城がホームグランドに
そんなある日の事波乗り人生で最大の危機を味わうのである
これは運がよかったとしかいいようがない経験だった本当にあの世が近い経験だった(笑)
由比ヶ浜の経験から数年経ち自分なりにレベルも上がりこの日も九十九里浜へ
台風の波と言っても既に沖合いから離れ波のサイズはさほどたいした事はなかった
ただし海上はもの凄い強風が吹いていた波ではなくこの風があとでとんでもない事に

この日使用していたのは長さが3m近いロングボードそれを浜まで運ぶのに風に何度もあおられて
相当苦労して入水した
沖合いに出ると廻りのサーファー達の板が波に乗ったあとクルクル空を舞っている
とにかく凄い強風だった
私も何本か波に乗った後その出来事はいきなり起きた
乗り方に失敗して足からボードが離れた瞬間また強風が・・・それと同時に後頭部に衝撃音がした
本人的にはたいした感じではなかったが数秒後にもの凄い吐き気と共に嘔吐
何故か体にバランス感覚がなくなり海中に沈む海の中でどちらが上か下かもわからない状態
だんだん意識が遠くなっていく・・その間にも沖から何度も大きい波が打ち寄せる
このままだと間違いなく死ぬ・・そんな事が遠くなる意識の中でふとよぎった
実はこの時後頭部に3mもある巨大なサーフボードが風により煽られて直撃していた
風の力+リーシューコードと呼ばれるゴムの紐が足についているがその戻る力も加わりもの凄い衝撃を後頭部にモロ受けてしまったのである

当時空手の道場にも通っていて時々後頭部に廻し蹴りを喰らいたびたび撃沈していた時があった(笑)
この時後頭部に受ける衝撃でいとも簡単に人が倒れる事を身を持って感じていた
それが3mもある重量がかなりあるサーフボードで受けてしまったのである
海中を漂いながら思ったのは死に対する恐怖より自分の好きな海で死ねるから本望なのかなと・・
あまり恐怖を感じる事はなかった不思議に息が苦しくなる事もなく楽な感じ
この状態で唯一救われたのは大量の水を飲んでおらず呼吸が出来ていた事
そしてウェットスーツを着ていたのでその浮力が自然に海中から海上へ体を押し上げてくれたこと
この2点が重なり遠い意識の中・・海上に顔を出す事が出来たこれでとにかく息は出来る

しかしこの後が絶望だった・・・まず海上に顔を出し驚いたのが頭の中がまるで椅子をくるくる廻された状態で景色が廻っている
そこで気持ち悪くなりまた嘔吐その間にも波が沖から降ってくる
なんとか気持ち悪さと波をくらいながら耐えていると廻っていた景色がピタリと止まった
だがその目に見えた景色は衝撃的だった、景色が水平に見えないのである
90度傾いてつまり水平に見えなければいけない景色が縦に見えるのである
その状態で右耳に何故か熱いものを感じて手を当ててみると赤いものが流れていた
水平すら確認出来ない状態でわかったのは耳の内部から出血していた
後でわかったのは三半規管を強打して損傷そして鼓膜が見事に破れ出血していた
やはり相当な衝撃を頭に受けていた、ついでに鼻血もおまけでついていた(笑)

せっかく海上に出て息が出来るようになったがこの状態でどちらが陸か沖かもわからず
体の水平すら保てないただサーフボードは波に揉まれながらもまだ足に紐でつながっていた
これも後で助かる条件につながった、この状態で泳ぐのは不可能だった

この絶望的状態で頭に浮かんんだのは何故か触覚を抜かれた蟻はこんな状態なんだろうな・・
触覚を抜かれてしまえばどこがどこかもわからずクルクル廻る
ふっと頭をよぎり自分が相当危機的状況でもしかしたらこのまま頭の血管が切れてそのまま・・
そんな事を思った
その後何度か波に揉まれながら友人の事とかいろんな思いが頭をよぎる
疲労困憊と気持ち悪さも抜けず波乗りしに来てるのに肝心なバランスをとる機能が損傷
諦めの気持ちも強くなりかけた時だった沖から来た波にもみくちゃにされて海中から顔を出した瞬間奇跡が起きた
景色が水平に見える!体はだるいが平行感覚も少しづつ戻り始め回復傾向になりつつある
こうなると一気に助かりたい気持ちが強くなる
岸まで泳ぐ事や板に立つ事ができないので最後の力で沖から来る波を捕らえて腹ばいのまま陸地へ
歩く事も出来ずそのまま倒れこんだ

海の家のオヤジが血だらけの私を見て救急車呼ぶか?と言われたが
海沿いの医者はヤボが多かったりするので(笑)血をシャワーで流して地元の大きい病院へ
三半規管は手術するほどまで損傷していなくて一安心ただ鼓膜は相当破れていて安静が必要との事
医者に当分海へ入らないでと言われて鼓膜が再生するのに2ヶ月ほどかかった

この経験からアウトドアでの強風がいかに危険か身を持って知った
この時は水を飲まなかった事・ウェットスーツを着用していた事・そしてサーフボードが足から離れなかった事
どれかひとつでも欠けていたらお迎えが来ていたかもしれない
いろんな意味でバランスは大切だと思うがその大切さを身に染みて感じた出来事でした
今もキャンプをしていて思うのは雨より強風が怖いこの経験が思い出させてくれています。
その3へ続く・・
台風の思い(その2・九十九里浜)_d0229144_8581631.jpg

写真と本文は関係ありません(笑)
by soulsurfkikikanri | 2011-06-21 06:19 | 独り言。


東日本大震災を機に私の体験から私なりの危険回避にお役に立てそうな事柄やアイテムつづって行きたいと思います


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